死亡が確認されたら、まず遺体を清めなければなりません。アルコールで全身を拭い、女性ならば薄く化粧し、男性ならひげを剃ります。また、汚れものが出ないように鼻、耳、肛門に綿の栓をつめ、目と口は軽くとじさせます。病みやつれているときは、ふくみ綿をして美しい死顔にととのえてあげるのが、死者の霊をなぐさめることになります。これら一連のことを『湯灌』といいます。昔はぬるま湯を入れたタライの中で遺体を清めたので、その名があります。葬儀社に頼めば、手抜かりなく清めてくれますが、まかせきりでなく、必ず家人も手をそえて、つつがない死出の旅路を心から祈りましょう。最後まで故人に敬意をはらいましょう。
恋愛結婚の場合は、縁談を取り持つ仲人がいないので、挙式の際の媒酌人を「頼まれ仲人」として捜さなくてはなりません。媒酌人には、2人に共通の恩師や上司、あるいは両親の知り合いで社会的地位の高い人、土地の名士などが選ばれることが多いようです。男性の会社の上司もよく選ばれます。媒酌人を依頼する場合は、いきなりお願いするのでなく、あらかじめ口頭(電話など)や手紙で打診しておく必要があります。内諾を得たなら、あらためて約束を取り、正式にお願いに上がります。引き受けてくれることになったら、結婚式の日取りなど具体的なことを、その人の都合と調整しながら決めていきます。なお、結納の際に、媒酌人をお願いする人とは別の仲人を立てた場合は、その人に媒酌人役をお願いできなかった旨を丁重に詫び、披露宴に招待します。
ティケットという言葉がある。これはフランスの太陽王といわれた、ルイ十四世の時代のヴェルサイユ宮殿で発行された一つの通行札ティケットから派生した。このティケットは、ある基準以上の貴族に発行された。その基準は、ヴェルサイユ宮にふさわしい「宮廷の作法」を身につけている、と目される世襲の貴族である。高位の貴族は、このティケットをもって堂々とヴェルサイユ宮に出入りし、ルイ十四世とつきあうことができた。ティケットを交付してもらえない田舎貴族は、懸命になって、ヴェルサイユの儀礼を学び、身につけようと努力をして、このティケットをようやく受けることができるようになるのである。このように古今東西、上流社会は、常にエティケット(英語のマナーも同じ)の中心である、というより必要上そのつくり手でもあった。